家を長く快適に保つために欠かせない外壁塗装ですが、なにかとトラブルが多いのも事実です。「イメージしていた色合いと違った……」「近隣から苦情が……」など、よくあるトラブルの事例と対処法について解説します。塗装工事前に知っておくことで、未然にトラブルを防げるでしょう。
よくあるトラブル1「完成後の色合いがイメージしていたものと違う」
外壁塗装によくあるトラブルとして「想像していた色合いと塗装後の色合いが違う」という問題があります。サンプルを見ながら塗料の色を選んだにも関わらず、実際に塗り替えてみると違う色に見えてしまう……。なぜ、このような事態に陥るのでしょうか?
*色見本の意外な落とし穴!「面積効果」と「光源の影響」について
外壁に塗装する塗料の色は「色見本(カラーサンプル)」を見ながら選びます。色見本とは、塗料の色を集めて整理した見本帳のことで、表紙を開くと2.5×7cm程度(もしくはそれ以下)の小さな見本がズラリと並んでいます。依頼主は「色見本で確認しておけば、イメージどおりの外壁が完成するだろう」と思いがちですが、色見本には2つの落とし穴があるのです。
1つ目の落とし穴として「面積効果による色の見え方の違い」があります。面積効果とは、面積の大きさによって色の見え方が変わってしまう視覚効果のこと。色見本のように面積が小さいものは濃い色に見え、外壁のような面積が大きいものは薄い色に見えてしまうのです。そのため、サンプルと実物の色合いが違うように見えるというトラブルの発生につながります。
2つ目の落とし穴は「光源の影響」です。色の感じ方は、太陽や蛍光灯など「光を発するもと」によって変化するもの。太陽光の下では自然に見えていた色でも、蛍光灯の下では白色に見え、白熱灯の下では黄色がかって見えてしまいます。そのため、屋外と室内では色の見え方が違うという点にも注意しておきたいところです。
*視覚効果に騙されない!賢い色の選び方
面積効果や光源の影響を考えず、色見本のみを参考にして塗料の色を選んでしまうと、イメージと完成結果の間にギャップが生まれます。塗装後のトラブルを避けるためにも、対処法を知っておきましょう。
面積効果については業者に大きめのサイズ(A4くらい)の色見本を作ってもらうことで対処できます。その際、色見本を実際に家の外壁に付けてみると、光源による色味の変化にも気がつくでしょう。太陽光の下で色見本を見ることで、室内にいたときよりも塗装完了後のイメージが想像しやすくなります。
また、屋外で色合いを確認する際には、町並みと調和がとれているかを確認しておきましょう。外壁の色を自分の好みだけで選ぶことはおすすめできません。事前に確認することで「周囲の色合いと調和がとれていない」「家全体と外壁の色に違和感を覚える」などの問題点に気がつく可能性があります。
業者と一度話し合っただけでは、色選びに関するすべてのトラブルが解決するとは限りません。何度か相談しながら、徐々に完成後のイメージを固めていくと、色選びで失敗する可能性は低くなるでしょう。
よくあるトラブル2「すぐに塗装が剥がれてしまった」
「外壁を塗り直したにも関わらず、すぐに塗装が剥がれてしまった」というケースがあります。本来、外壁塗装は長い年月をかけて少しずつ劣化していくもの。ただし「剥がれ」と呼ばれる現象については、施工時における業者の不注意が原因のひとつとして考えられます。
*塗装の剥がれは業者の施工不良の可能性も
そもそも「剥がれ」とは、塗料と外壁が密着しておらず、互いに離れてしまった状態を指します。一見、外壁が古くなったために色が落ちてしまったように思えますが、とくに塗装したばかりの塗膜が剥がれてしまった場合は「業者の施工不良(下処理などのミス)」もしくは、そもそもの家の問題の可能性も否めません。
具体的な原因として、次の4つが考えられます。
【剥がれの原因】
- 塗料が乾く前に、再度塗装をしている
- 下地の処理が不十分
- 高圧洗浄が不十分
- 家の建てつけや建てた時の施工不良で水が中に侵入してしまいその影響で剥がれる
*丁寧な作業をしてくれる業者を選びましょう
外壁が一か所でも剥がれていると、家の外観が損なわれてしまいます。それだけに留まらず、外壁塗装の剥がれは放置すると大きく広がってしまうことも。そのため、剥がれの有無は早めに確認することをおすすめします。
塗装の剥がれを防ぐ対処法として、次の3つが挙げられます。なにより、丁寧な作業をしてくれる業者に依頼するのが一番でしょう。
- 塗装が乾きにくい時期(梅雨など)を避けるようアドバイスしてくれる
- 「塗料は何度塗りなのか?」など、気になる点を事前に確認し、依頼主からの質問に対して誠実に答えてくれる業者を選ぶ(価格だけで決めない)
- 業者に工事の工程ごとに写真を残してもらう
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よくあるトラブル3「業者から追加費用を請求された」
「追加費用の請求」もよくあるトラブルのひとつです。追加費用が発生すると業者への不信感を持つ人も多いかもしれませんが、必ずしも悪徳業者とは限りません。例えばリフォームの場合、実際に工事を始めると事前調査ではわからなかった問題が浮き彫りになることもあります。すると、最初に提示された工事費用のほかに、追加費用が発生してしまう可能性があるのです。
ただし、追加費用の発生を前提に、当初の工事費用を下げて契約をしようとする業者もあります。この場合の対処法として、追加工事が発生する可能性やその際にかかる費用を事前に確認しておくことが大切でしょう。
また、不十分な事前調査のもとで作られた見積書や、詳細が記載されていない契約書にも要注意です。見積書や契約書の内容が明確でないと、追加費用を請求される可能性が考えられます。「事前に行われる現地調査に立会う」「明確な見積りと詳細な塗装プランを業者に要求する」などの対策をとり、トラブル防止に努めましょう。
よくあるトラブル4「近隣から苦情がきてしまった」
塗装工事を行うとなると、近隣住民にも影響が及びます。「工事中の音がうるさい」「塗料の匂いが原因で気分が悪くなった」「塗料がほかの家に飛び散っている」といった苦情の可能性も。音や匂いの発生が避けられない場合は、近隣住民に対して事前説明をしておきましょう。
近隣住民への事前説明は基本的に業者が行うものですが、自らも事前にあいさつにまわり「工事期間」や「業者の駐車場所」などをしっかり伝えておくことをおすすめします。また、工事期間中に近隣住民と会った際は「ご迷惑をおかけしております」と声をかけるようにすると、周囲への配慮を伝えることができるでしょう。
外壁塗装を行う場合は、色や費用面だけでなく、周囲への影響についても考える必要があります。とはいえ、自分ひとりではトラブルへの対処法が思い浮かばないかもしれません。その場合は、ぜひ業者に相談してみてください。業者は塗装の専門家ですから、外壁塗装をするうえで知っておきたい情報を数多く仕入れています。依頼主からの相談に対して誠実に対応し、丁寧な作業を行ってくれる優良業者を選ぶことが、トラブル防止につながるのです。信頼できる業者にしっかり相談しながら工事を進め、満足のいく外壁塗装を目指しましょう。