住宅に使用される外壁材にはたくさんの種類があり、それぞれの特徴にあったメンテナンスをすることが大切です。ALCパネルは性能の優れた外壁材とされていますが、どのようなメンテナンスが必要なのでしょうか。
今回はALCパネルに必要なメンテナンスを把握するために、特徴や種類、メリット・デメリット、補修方法・塗装について詳しく解説します。
1.【外壁材】ALCパネルとは
はじめに、外壁材として使用されるALCパネルの特徴を見てみましょう。
1-1.ALCパネルの特徴
ALCは高温高圧蒸気養生でつくられる軽量気泡コンクリート(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)のことで、珪石・セメント・生石灰・アルミニウム粉末を主原料としています。
板状に成形したものは「ALCパネル」と呼ばれ、外壁用や間仕切壁用、屋根用、床板などがあり、幅広く使用される建材です。
1-2.ALCパネルはサイズと種類が豊富
ALCパネルには厚型と薄型の2種類があります。
【ALCパネルの規格】
・厚型パネル
厚さ75mm以上、一般的に鉄骨造・鉄筋コンクリート造の耐火建築物に使用されます。
・薄型パネル
厚さ35mm以上・75mm未満、一般的に木造や鉄骨造に使用されます。
さらに、ALCパネルは一般パネル・コーナーパネルと形状の異なる種類があり、平パネルとレンガやチェック、タイルなどのデザイン性の高い意匠パネルもあります。
モルタル外壁のように現場で仕上げるのではなく工場で生産されることから、デザインや寸法、性能の品質が一定しているのが特徴です。
2.ALCパネルのメリット・デメリット
次に、ALCパネルのメリット・デメリットを確認してみましょう。
2-1.メリット
まずは、ALCパネルのメリットから解説します。
2-1-1.耐火性に優れている
ALCパネルは不燃材料のコンクリートであり、耐火構造の認定を有しています。耐火性・防火性に優れ、火に強いのがメリットです。また、万が一火災が起きた場合でも、有害なガス・煙を発生させません。
2-1-2.強度がある
ALCパネルの内部には、鉄筋マットやスチール製の金網が補強材として組み込まれています。そのため、強度があり、耐久性に優れているのがメリットのひとつです。
2-1-3.断熱性に優れている
ALCパネルの内部には細かい気泡があり、空気の層ができることから断熱性が高い建材です。熱伝導率は通常のコンクリートの1/10とされているため、夏は涼しく、冬は暖かい住宅環境が作りやすくなります。
2-1-4.有害物質が含まれていない
ALCパネルにはアスベストやホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれていません。そのため、シックハウス症候群などの心配がなく、高層ビルや一般住宅など幅広く使用できます。
2-1-5.重量が軽く、施工しやすい
ALCパネルは通常のコンクリートよりも1/4程度重量が軽く、住宅自体への負担が少ないのが特徴です。また、取り付ける際に施工しやすいことから、工事期間の短縮・コスト削減につながります。
2-2.デメリット
次に、ALCパネルのデメリットを解説します。
2-2-1.防水性が低い
メリットの多いALCパネルですが、防水性が低いのがデメリットです。内部の気泡に水が浸透すると膨張やひび割れが起こる可能性もあるので、防水性の高い仕上げ材で保護する必要があります。
また、ALCパネルは建築物に取り付ける外壁材になり、同じように施工するサイディングボードよりもサイズが小さいことから、パネルのつなぎ目が多くなります。そのため、つなぎ目のシーリングをしっかりと行わないと、雨漏りリスクが高くなるので注意しましょう。
3.ALCパネルの補修方法
ALCパネルの劣化症状が起きた場合、どのような補修方法を行うのでしょうか。ALCパネルに起きる可能性がある劣化症状と補修方法を解説します。
3-1.塗膜の劣化
塗装をした外壁材は、経年劣化や環境の影響によって塗膜の劣化が起こることがあります。
外壁を手で触ったときに粉状のものがつく「チョーキング現象」、塗膜の浮きや剥がれなどが起こる場合がありますが、早めに対策をとるために、チョーキング現象が起きた時点で外壁塗装の塗り替えを検討しましょう。
3-2.0.3mm未満のひび割れ
経年劣化や乾燥収縮などの影響によって、ヘアークラック・乾燥クラックなど、幅0.3mm未満の小さなひび割れが起きる場合があります。
再発のおそれがなく塗装表面のみのひび割れであれば、塗り替えの際にシーリング材などでひび割れ部分を埋める補修をしてもらいましょう。
3-3.0.3mm以上のひび割れ
0.3mm以上の大きなひび割れが起きた場合、ひび割れに沿ってU字型にカットし、シーリング材を充填する「Uカットシーリング材充填工法」で補修するのが一般的です。
大きなひび割れは構造躯体の欠陥や地震の影響、ALCパネルの施工ミスなどによって発生することがあります。漏水の原因にもなるので、きちんと発生原因を特定して適切な補修を行うことが大切です。
3-4.タイルの浮き・剥がれ
ALCパネルにタイルを張っている場合、張り付ける際のモルタルの充填不足や付着力低下によって、タイルの浮き・剥がれなどが起こることがあります。
タイルに劣化が起きた場合は、適切な工法によってタイルを新しく貼り替えます。タイルが浮いた状態で放置すると剥落の危険があるので、早めに業者に点検してもらいましょう。
3-5.ALCパネルの破損
地震などの影響でALCパネルが破損した場合、破損した部分から水が浸水して内部の鉄筋が錆びるおそれがあります。また、剥落の危険もあるので早めに補修を依頼しましょう。
補修方法は、破損状態や施工する業者によって異なりますが、ポリマーセメントで埋め戻したり、ALCパネルを交換したりするなどして対処します。
3-6.シーリングの劣化
目地を埋めるシーリング材は紫外線などの影響で劣化することがあります。塗装してある場合でも外壁部分より劣化が早い傾向があるので、定期的にシーリングの状態を確認しておきましょう。
劣化が起きている場合は、シーリング材の打替えなどで補修します。
4.ALCパネルは塗装メンテナンスが大事
ALCパネルは防水性が低いため、塗装によって保護する必要があります。塗膜に劣化が起こると漏水リスクが高まるので、早めに塗装メンテナンスを行うことが大切です。
また、クラックやシーリング部分の劣化なども雨漏りの原因になりやすいため、初期の劣化症状でも見逃さないように、定期的な点検を行うことをおすすめします。
4-1.ALCパネルに合った塗料を選ぶこと
ALC外壁の塗装を行う際には、防水性の高い塗料を選ぶのがポイントです。また、住宅環境も考慮して塗料を選ぶことが重要になり、塗り替えのときは補修を同時に行うと長持ちしやすくなります。
最適な塗装工事ができるように、ALCパネルの塗装メンテナンスに慣れた業者へ依頼しましょう。
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適切な塗装メンテナンスでALCパネルを長持ちさせよう
ALCパネルはメリットが多い外壁材ですが、快適な住宅環境を維持するには塗装メンテナンスや劣化に合わせた補修が欠かせません。メンテナンスを怠ると雨漏りリスクが高まり、構造躯体にも影響を与えてしまう可能があります。
大事な住宅を守るためにも、定期的な点検を行い、適切な塗装メンテナンスでALCパネルを長持ちさせましょう。
要点まとめ
ALCパネルとは軽量気泡コンクリートのことで、外壁用・間仕切壁用・屋根用・床板などがある
ALCパネルは【耐火性が高い】【強度がある】【軽量】などのメリットがある
ALCパネルは防水性が低いデメリットがある
ALCパネルは塗膜の劣化やひび割れ、シーリング材の劣化などが起こる場合がある
ALCパネルは定期的な点検・塗装メンテナンスが大事