屋根形状には、「寄棟(よせむね)」「切妻(きりづま)」「陸屋根(りくやね)」などさまざまな種類があり、形によって特徴は異なります。
では「片流れ」はどのような屋根なのでしょうか。
この記事では、片流れ屋根の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。また、片流れ屋根で雨漏りした際の解決策も種類別に解説しますので、一緒にチェックしてみましょう。
1.片流れ屋根とは?片流れ屋根の意味
まずは「片流れ」とはどのような意味があるのかを把握しておきましょう。
辞書で「片流れ」を調べてみると、
1 屋根の棟から片方の軒までの斜面。
2 一方にだけ傾斜をもつ屋根。片屋根。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
と記されています。
つまり、片流れ屋根は一枚の屋根が一方向に傾斜している屋根形状のことをいいます。
物置や小さめの建物に用いられることが多く、シンプルでスタイリッシュなデザインが人気となって、近年では住宅屋根としても用いられています。
2.片流れ屋根は平屋に多い?平屋にする理由
平屋は階段がなく移動が楽なことや、ワンフロアで広く見せられることから人気になっています。高齢になっても暮らしやすいため、将来を考えて平屋の家に住みたいという方も増えているようです。
そんな平屋の屋根には、片流れ屋根が用いられるケースが多くあります。平屋の屋根を片流れ屋根にすると軒先のない方の壁面に高さが出るため、高い位置に窓をつくれます。高い位置から光を取り入れることで家の中が明るくなり、快適に過ごせるのが平屋の屋根に選ばれる理由のひとつです。
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3.片流れ屋根のメリット
光を取り入れやすくなる以外にも、片流れには多くのメリットがあります。どのようなメリットがあるのかチェックしてみましょう。
3-1.太陽光パネルが取り付けられる
片流れ屋根は他の屋根と比べて屋根面が広いため、太陽光パネルを多く載せられます。屋根の傾斜を南向きにすると太陽光発電の効率が良くなることから、新築住宅では太陽光パネルを設置するのを前提に南向きの片流れ屋根にしているケースもあります。
今住んでいる住宅が南向きの片流れ屋根なら、太陽光発電を取り入れてみるのもおすすめです。
3-2.初期費用・リフォーム費用が安く済む
片流れ屋根はシンプルな構造でできているので、他の屋根よりも材料費用や工事費用が抑えられるメリットがあります。新築で建てるときの初期費用がかからず、メンテナンスや修理をする場合もリフォーム費用がかからず経済的です。
3-3.屋根裏に大きなスペースができる
片流れ屋根は傾斜をつけることで屋根と天井板の間にスペースを作れます。このスペースを小屋裏収納部屋として有効活用できるため、収納力を高めて居住スペースを広く使いたい方におすすめです。
ただし、小屋裏は「高さ140cm未満」、「面積が階下の1/2までの広さ」などの条件を満たさないと延床面積に算入されてしまうので注意しましょう。
4.片流れ屋根のデメリット
片流れ屋根の特徴を把握するために、メリットだけでなくデメリットも理解しておきましょう。
4-1.屋根・外壁が劣化しやすい
4方向に傾斜のある屋根をもつ寄棟の場合は、雨風が外壁に当たりにくい構造になっているため劣化を抑えられます。しかし、片流れ屋根は一方向に屋根があるだけなので、軒先のない壁面は雨風や紫外線の影響を受けやすいデメリットがあります。
また、屋根に当たる雨水も分散せずに一方向に流れるので、屋根や雨を受ける雨樋が劣化しやすいのも特徴です。
さらに、換気がしにくい構造から結露によって屋根の劣化が起きる場合もあります。
結露を防ぐには、小屋裏の下部分にある軒天換気口から、棟頂部にある棟換気口に排気する「棟換気」を行うのが一般的です。しかし、片流れは風の流れを作りにくいため、十分に小屋裏換気ができない傾向があります。結露が起こるとカビや木材の腐朽、シロアリなどの原因になるので注意が必要です。
4-2.雨漏りリスクが高い
片流れ屋根は一枚屋根で接続部分がないため、雨漏りしにくいといわれています。しかし、屋根からではなく「破風板」と「野地板(野地合板)」の境目から、伝い水によって雨漏りが発生するケースがあります。
また、軒天換気口から雨水が侵入したり、結露による劣化が原因で雨漏りが起こる場合も。雨漏りリスクが高い片流れ屋根は防水性の高い部材を使用し、十分なメンテナンスを行うことが大切です。
5.【種類別】雨漏りした際の解決策!
片流れ屋根で雨漏りが起きたときにはどうすればよいのでしょうか。種類別に対策方法をチェックしてみましょう。
5-1.破風板を立ち上げる
破風板は屋根の妻側に付けられた板のことで、屋根の内部に雨風が入り込むのを防いだり、防火性を高めたりする役割があります。瓦屋根の場合、棟頂部の破風板を立ち上げることで雨が侵入しにくくなります。
5-2.水切り板金をつける
瓦屋根は破風板を立ち上げる以外にも、水切り板金を取り付けて雨漏り対策するのが効果的です。「水切り板金」は屋根と外壁の取り合い部分に雨水が侵入しないようにする板のことです。板金やのし瓦、南蛮漆喰、モルタルなどを用いて雨水が建物内部に侵入せず流れるように取り付けられます。
5-3.ルーフィングを覆う
スレート屋根・セメント屋根・金属屋根の雨漏り対策には、ルーフィング(下葺材)を用いた方法が一般的です。屋根材の下に敷くルーフィング(下葺材)で棟部を覆い、破風板に垂らすことで伝い水や雨風の吹き込みを防げます。雨漏り対策には、通常のルーフィングよりも透湿ルーフィングが向いています。透湿ルーフィングは強度があるため破れに強く、柔らかい素材のため覆いやすいメリットがあります。
雨漏りは屋根材の種類や環境に合った方法で対策をとる必要があるので、専門業者とよく相談をしてぴったりの方法を提案してもらいましょう。
片流れ屋根の定期メンテナンスは外壁.comへ!
雨漏りは直接雨水が侵入する以外にも、屋根・外壁の塗装剥がれやひび割れなどの劣化が原因となるケースもあるため、いま雨漏りが起きていないからといって安心はできません。大事な住宅をきれいに長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスや修理をきちんと行うようにしましょう。
外壁.comでは、屋根や外壁の塗装、防水、補修などさまざまなメンテナンスを行っています。また、安心してご依頼いただけるように5つのポイントを特徴としています。
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雨漏りがし始める前に定期メンテナンスを
片流れ屋根はデザイン性が高く、屋根裏スペースが使えるなどメリットの多い屋根形状です。注意点として、棟部からの雨水侵入リスクが高く、雨風が当たって外壁の劣化が起きやすいため、屋根や外壁のメンテナンスは欠かせません。
片流れ屋根だけに限らず、どの屋根形状でもメンテナンスを怠ればトラブルは起きてしまうものです。雨漏りによって屋根材が劣化した場合、カバー工法や葺き替えで修理ができるケースもありますが、なるべく費用をかけずに快適な住まいを保つためにも、専門業者に点検を依頼して定期的なメンテナンスを行いましょう。
要点まとめ
片流れ屋根は一方向に傾斜している屋根のこと
高い位置に窓がつくれるため、平屋でも明るい環境で過ごせる
太陽光パネルが設置しやすい・屋根裏が活用できるなどのメリットがある
屋根や外壁が劣化しやすく、雨漏りリスクが高いデメリットがある
雨漏りを防ぐためにも定期的なメンテナンスが大事