外壁塗装は外にさらされたままなので当然、年数が経つにつれて黒ずんだり劣化したりするものです。黒ずみなどは一見、ただの汚れと勘違いされがちですが、実は外壁塗装の劣化がはじまっているサインでもあります。ただ、サインを見逃したり見過ごしたりしてしまうと、外壁塗装のレベルでは済まなくなることも。そこで今回は、塗り替えのメリットおよび重要性をはじめ、塗り替え時期の目安、価格相場や注意点をご紹介!
塗り替えのメリットと重要性
外壁は常に天候や災害などの自然にさらされています。天候や災害による建物の劣化は「色褪せ」「各種機能・効果の軽減」「耐久性の低下」が代表的。そして、劣化が進むと建て替えを余儀なくされてしまうこともあるのです。
*塗り替えることで原状回復&リフォームの回避につながる
色あせすれば美観が損なわれるだけでなく、外壁を守るという塗装としての機能や効果が軽減することで耐久性が低下し、下地にダメージを与えます。
例えば、雨の影響を受け続ければ外壁が黒ずんでしまいます。直射日光による紫外線を浴び続けると、塗料を覆う塗膜の保護機能も分解されます。積雪による凍害ではサイディングボードが浮いてしまうと、そこから雪や雨などが侵入して下地の腐食がはじまります。ところが、外壁塗装をすることで黒ずみが除去できたり、紫外線をカットする塗料を使うこともできます。さらに、「原状回復したような外壁塗装に戻る」美観の維持もさることながら、凍害対策用の塗料や下地を守る防水工事も施せるので、大がかりなリフォーム工事の回避にもつながります。
外壁塗装の塗り替え時期
外壁塗装における塗り替えの時期は、新築時から10年が目安といわれることが多いのですが、実際には7〜8年で塗り替えが必要です。外壁は劣化してくるとさまざまな症状がではじめます。見た目にわかるほど劣化が進んだ状態では、すでに塗り替えには遅いタイミングです。以下のような劣化症状を見つけたらすぐに塗装し直すことをおすすめします。
- チョーキング
壁面に白いチョークのような粉が浮き出て指で触ると粉が付着します。
- クラック
塗料だけでなく下地までひび割れている状態。外壁の劣化にもつながり大変危険です。
- 色あせや汚れ
紫外線にさらされたことによって、塗料本来の色味が失われている状態や、汚れている場合も塗料の機能が低下しています。
以上のようなサインを見つけてから塗装し直せばいいと考えずに、塗装後7〜8年で塗り直すようにしましょう。
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外壁塗装を依頼する際の注意点
外壁塗装を依頼する際は事前に価格相場や作業工程、保証などについて調べておきましょう。心ない業者もいるため、その一手間が高額支払いや手抜き作業を防ぐことにつながります。
- 外壁塗装の価格相場
外壁の塗り替えにおける価格相場は、塗料や延べ床面積によって上下します。例えば、延床面積が30坪の場合、主流とされるシリコン系塗料が80~100万円に対して、割高のフッ素系塗料は100~120万円程度です。
- 作業工程
作業内容を把握しておくことも手抜き工事を防ぎます。作業の流れは以下となります。漏れがないか見積り時にチェックするようにしましょう。
足場組立→洗浄→養生→下地処理→塗装→養生ばらし→塗装(付帯部)→足場解体・清掃→完工
- 保証の種類
保証には塗装業者独自のもの、第三者機関(組合)によるもの、塗料メーカーによるものと3種類あります。塗料メーカーの保証は塗料の保証であり、施工内容は保証に含まれません。その他にも国土交通省が推奨している「リフォーム瑕疵担保保険」という業者側が加入している保険があり、瑕疵(欠陥)があれば家主が保険金を受け取れます。それぞれ保証範囲や年数、保証内容やかかる費用が違うため、良く確認するようにしましょう。
各種塗料の耐用年数と特徴
外壁塗装で主流といわれる、5種類の塗料と外壁材の「耐久年数・塗り替え時期」を一覧でまとめてみました。特徴と合わせてご覧ください。
- シリコン系塗料/耐用年数10~12年
紫外線や汚れに強く美観性が高いシリコン系塗料。価格と塗装寿命のバランスもよいため、高いコストパフォーマンスが特徴です。外壁塗装業界では、主流と呼ばれる塗料の1つ。
- ウレタン系塗料/耐久年数8~10年
シリコン系塗料より安価な分、色褪せなどの防汚性は劣ります。しかし、汎用性が高いことから「場所を選ばず使用できる」のがウレタン系塗料の特徴です。
- フッ素系塗料/耐久年数12~15年
シリコン系塗料に比べると割高。しかし、高い耐久性と美観性を持つのがフッ素系塗料の特徴です。耐久性重視という場合は、フッ素系塗料がオススメ。
- クリア塗料/耐久年数12~15年
性能はほぼシリコン系塗料と変わりません。クリアの名の通り「透明」なのが特徴。既存の外壁の雰囲気を残したいときなどに使われます。
- アクリル系塗料/耐久年数5~8年
5種類のなかで最も安価なのがアクリル系塗料です。耐久年数が短い・汚れやすい・美観性が劣るというのが特徴。「手軽に済ませたい人」や「マメに塗り替えたい人」にはオススメかもしれません。
各種外壁材の塗り替え時期と特徴
- モルタル/塗り替え時期8~10年
セメントを中心に石灰・砂・水を練り混ぜてつくる素材です。施工しやすくコストも安価なのが特徴。防水性が弱まると劣化の進行が早まる結果、ひび割れを起こします。
- 窯業系サイディング/塗り替え時期7~10年
主な原料であるセメント質と繊維質を板状に形成した素材です。デザインが豊富なことからサイディングでは主流と呼ばれる外壁材。サイディングよりシーリングの方が先に劣化します。
- 金属系サイディング/塗り替え時期10~15年
スチールやアルミニウムなどを原料とする金属鋼板です。断熱性・防火性・耐久性に優れるほか、軽いのが特徴。
- ACLボード/塗り替え時期8~10年
コンクリートを軽量気泡化してあるのがACLボードです。金属系サイディング同様、断熱性・耐火性・耐久性に優れています。
- コンクリート壁/塗り替え時期15~20年
水・セメント・砂・砂利を練り混ぜてつくるのがコンクリート壁です。5種類のなかで最も強度がある一方、経年劣化によって防水効果が切れた場合、専門的な改修を必要とすることも。
塗り替え後のメンテナンス
塗り替え後は定期点検をはじめ、施主側が実践しやすい簡単なメンテナンス方法を教えるなど「無料アフターフォロー」を実施する塗装業者もいるので確認してみるとよいでしょう。
外壁の汚れは塗料の劣化を進めてしまうため、自分でできる日々のメンテナンスも大切です。土ぼこりをそのままにしておくと場所によっては藻やコケ、カビなどの原因となります。日のあたらない場所や雨が多く湿度の高い地域はこまめにチェックするようにしましょう。見つけたら柔らかいブラシやスポンジで優しく水洗いして落とします。特にカビは放置しておくと水を侵入させてしまう場合もあるので注意が必要です。
外壁塗装は必要なランニングコスト
外壁の塗り替えは、決して安価ではありません。ただ、高いお金をかけるだけの見返りは十分に期待できます。美観を維持できることはもちろん、家の耐用年数が延びることで住宅自体の資産価値も高まります。そのため、外壁の塗り替えを検討する際は、価格相場を耐久年数に応じて分割するのもよいかもしれません。例えば、価格が80万円の外壁塗装を10年間で分割すると、月々6,000~7,000円の積立金がかかると同時に、それをランニングコストとして考えることもできます。塗装の劣化が進むと塗り替えだけでは済まず、外壁塗装の価格より桁が1つ多い「高額なリフォームを余儀なくされる」場合もあるので、まずは塗装業者に連絡することをオススメします。