ひと口に色決めといっても、実に数百種類の色のなかから選択しなければならないので、迷わず決めることができる人は少ないはず。また、ひとつの色ではなく複数の色を使うとなれば、その組み合わせも考えるものです。ただ、色にはいくつかのルールがあるため、それさえ理解できれば、色決めもスムーズになります。今回は、色選びの前に知っておきたい「色のトリック」をはじめ、色を選定する際に便利な「配色の基本」、人気のツートンカラーによる事例などを徹底的に解説します。
外壁塗装で人気のある色とは?
外壁塗装で納得のいく色選びをしたい場合は、人気色を参考にすることが有効です。一般的には以下の10色が人気の色といわれているようです。
- ベージュ系
- 白色
- 灰色系
- 茶色系
- 黄色系
- ピンク系
- 青色系
- 黄緑色系
- 橙色系
- クリヤー
外壁塗装では「色のトリック」を理解するのが先決!
上記のように、一般的にはベージュ系や白色のように、白系統の色合いが人気のようです。しかし、単に人気のある色を選ぶのではなく、ほかにもいろいろな要素で色選びをしたいと考える方もいるはずです。では、色選びの際はどのような点に着目して選べばよいのでしょうか?
色選びのための3つのポイント
ここでは、外壁塗装で色選びをする際に知っておくと役立つ「面積効果、明度対比と色相対比、光源色」という3つのポイントを見てみましょう。
- 面積効果
同じような色をいくつか選択したとき、小さな色見本を使って見比べたところで、違いが分かりにくい場合もあります。それは、明るい色の明度・彩度は「面積が大きくなるにつれて“明るく”“鮮やかに”見える」ようになり、暗い色の明度は「面積が大きくなるにつれて“暗く”見える」ようになるためです。このように面積の大小により色の見え方に変化を感じることが、「面積効果」です。よって、複数の同系色を比較したい場合は、A4サイズ以上の大きめのサイズで確認すると「色の見分けがつきやすい」といえるでしょう。
- 明度対比と色相対比
ある色の明るさと暗さが、周囲の色の影響を受けて本来より明るく見えたり、暗く見えたりする現象が、「明度対比」です。一方、赤と黄色は異色の組み合わせですが、赤をポイントで使い、黄色が全体を覆うスタイルにすれば、赤が際立つ配色効果を発揮します。これを「色相対比」と呼びます。
- 光源色
色の感覚は時間によって見え方を変化させる場合もあり、そうした一連の現象は「光源色」の作用といわれています。塗料自体に変化はありませんが、色が時間によって見せ方を変えてしまいます。色選びの際は、朝・昼・夜と、それぞれの時間帯で色の確認をしておくのが賢明といえるでしょう。
あわせて読みたい記事「 【プロが教える】シーリング材とコーキング材の違いとその種類・用途」はこちら
- 【プロが教える】シーリング材とコーキング材の違いとその種類・用途
- 屋根や外壁にはシーリング材という材料を使用して施工することがあり、シーリング部分に劣化が起きた場合は補修が必要です。 シーリング材にはさまざまな種類があり、リフォーム内...
- 外壁リフォーム基礎知識
- 外壁塗装の基礎知識
外壁塗装の色選びに欠かせない配色の特徴!
色の組み合わせは、以下で示す4系統の色を中心とした場合、4つの分野ができます。
4系統を軸とした4つの分野
配色の際に基本色となるのが、明るさを全面に与えるピンク系統、暖かみのある黄土色系統、奥ゆかしさを携える黒系統、清涼感を醸し出す水色系統の4つです。また、ピンク系統と黒系統の縦軸、黄土色系統と水色系統の横軸を十字で交差させると、4分野での配色ができます。
- ピンク系統+水色系統の分野
両系統の中間付近では「シンプル」な色合いになり、ピンク系統に近づくほど「女性らしさ」や「メルヘンチック」な雰囲気が強くなります。逆に水色系統に近づけば、繊細なイメージを与えるのが特徴的。
- ピンク系統+黄土色系統の分野
両系統の中間付近では「かわいらしい」「リゾート感あふれる」といった色合いを出します。ピンク系統に近づくにつれ「優しさ」や「温和」なイメージを与え、黄土色系統に向かうほど「楽しい」「気軽な」「親しみやすい」などの印象を持たせます。
- 黒系統+黄土色系統の分野
両系統の中間付近では「力強い」「行動的な」「大胆な」といった雰囲気に仕上がり、黒系統に近づくほど「伝統的な」「厳かな」、黄土色系統に移れば「おおらかな」などのイメージを与えます。
- 黒系統+水色系統の分野
両系統の中間付近では「格調高い」かつ「個性的」になり、黒系統に近づけば「落ち着いた」、水色系統では「近代的な」といった印象が強くなります。
外壁塗装での色の組み合わせは2色ないし3色が基本
色選びの際は、希望する色を選択できるものの、基本的には同系の2色でまとめたり、対照的な色で際立たせたりするこが一般的です。また、3色を使う場合は、ベースカラーの面積比の割合を高くするのが一般的です。最後は、「ツートンカラーの代表例」と「3色を用いる際のポイント」をまとめました。
隣同士の色を選ぶのがツートンカラーの基本
色には複数の種類が存在するものの、似た色同士を配列していくと、ひとつの円状につなぐことができます。これを「マンセル色相環」と呼び、分かりやすく説明すれば、異なる色を特定のルールに従って円状に並べたものです。また、実際に色を組み合わせて使う際は、希望する色と接する色を用いるのがツートンカラーの基本ともいわれています。
配色や色合いの代表例
- トーン・オン・トーン
同じ色相ながら、明度差を変化させた配色がトーン・オン・トーンです。例えば、ワインレッドとピンクを用いたり、青色と青紫色を組み合わせたりなどがあります。
- ペール・カラー
彩度は低い分、明度が高くなるのをペール・カラーと呼びます。淡いグリーンと橙などの組み合わせが代表的。
- アース・カラー
茶系統を中心とした、土や木の幹の色をイメージさせるナチュラルな配色がアース・カラーです。ベージュと薄茶色などの組み合わせといったものがあります。
- ニュートラル・カラー
彩度が低く、フォーマルで無難な色合いを実現できるニュートラル・カラーは、黒と灰色、もしくは白色による組み合わせが代表的です。一方、黒と白という対照的な配色でも使われ、その場合はモノトーン調と呼ばれています。
3色を用いる際のポイント
例えば、クリーム色・こげ茶色・薄茶色といったように3色を使って塗装する場合は、以下の面積比のルールにのっとって色の割合を構成するのが、配色の基本といわれています。面積比は、全体の70%を占めるベースカラー、同25%のアソートカラー、同5%のアクセントカラーの3部構成になるようにしましょう。ベースカラーの決定に始まり、屋根や玄関などをアソートカラーとし、ベランダをアクセントカラーにするのが、面積比を用いたオーソドックスな外壁塗装になります。
色選びのコツはさまざまな角度から事前確認すること
外壁塗装の色を決める際には、理想とする色をイメージしておくことも大切ですが、一度、ご自宅の周囲の景観を確かめたり、時間帯をずらして見直したりすると、現実とのギャップも少なくて済むでしょう。ベースとなる色を決めたら、今度は色のトリックといったことに注意して配色の基本と照らし合わせれば、外壁塗装で失敗する可能性も低くなります。外壁塗装は使用する外壁材によっても色が変化するので、慎重に決めたいという人は「経験豊富な塗装業者に相談」するのがオススメ!