よく使われる外壁塗料、下塗り材の施工仕様書はこうなっている
外壁塗装工事に使われる塗料について、お客様が詳しい情報を得ることはありません。ほとんど業者に「お任せ」の状態です。
しかし、塗料を知ることは、工事や施工業者の信頼性を確認する大きな手がかりになります。
一例として、塗料の大手メーカー日本ペイントの製品で、サイディングへのクリアー塗装によく使われている「ピュアライドUVプロテクトクリヤー」という塗料の仕様書の一部を見てみましょう。次のような記載があります。
塗り回数 | 1 |
---|---|
使用量(kg/m2/回) | 0.12~0.14 |
塗り重ね乾燥時間(23℃) | 4時間以上 |
希釈剤 | 塗料用シンナー |
希釈率(%) | 20~40(エアスプレー) 5~10(エアレススプレー) 0~10(ウールローラー・はけ) |
このように、塗料の使用量はメーカーの施工仕様書によって厳密に決められており、また次の塗装は4時間以上の乾燥時間をとることが指定されています。
ただし、23℃の場合が前提ですから、工事当日の天候によって、時間のとり方には調整の余地があります。また希釈率も、塗装方法によって細かく指定されています。
希釈率や塗りの回数は、塗料メーカーの施工仕様書通りか
希釈率に一定の幅が設けられているのは、乾燥時間同様、そのときの気温や湿度との関係で判断することが求められるからです。夏の高温時、塗料は粘度が低くサラサラしています。薄める割合は少なめでも大丈夫です。反対に、冬場は気温が低いことから粘度が高くなり、薄める割合を高くすることもあります。
塗装業者の中には、決められた希釈率以上に薄めて使用するケースもあるようです。当然、薄められた塗料は塗りやすく仕事がはかどり、使用量も少なくてすみます。作業時間が減るので人件費も節約できます。
しかし、薄められてしまえば、メーカーが想定している性能は発揮されません。塗膜がしっかりと形成されないことから、期待耐用年数のはるか以前に塗装剥離などの問題が発生してしまうのです。
その為価格だけで選ぶのではなく、施工仕様書通りにきちんと施工する会社を選びましょう。
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経験豊富な塗装職人が天候に応じた塗料の調整、施工の管理を行い、同じ塗料を用いた他社様よりもしっかりとした施工を目指しています。
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乾燥時間が重要。硬化不良では性能が発揮できない
外壁塗料は重ね塗りをするタイプがほとんどです。その場合は乾燥時間が十分でないとその塗料の性能が発揮できません。
そのため塗装のベストシーズンは春(3月~5月)と秋(9~10月)といわれるのも、比較的天候が安定していて空気も乾燥しており、期待する乾燥時間が得やすいからです。乾燥不足は外壁塗装の大敵です。
乾燥不足が起こるのは、塗膜が厚すぎる、塗膜の厚さにムラがある、5℃以下など周囲の温度が低すぎるといったことが原因です。
そもそも塗料メーカーは、気温5℃以下、または湿度85%以上のときは塗装できないことを明らかにしています。逆に言えば、その条件外であれば施工は可能ということになりますが、その場合は、希釈率や塗装方法、乾燥時間などについての現場での細かい配慮や、きちんとした施工管理が求められます。
天候によっては工事の遅延も考えられます。むしろ、きちんと仕上げようとする良心的な業者ほど、無理をせずに工事の延期をすることになります。
お客様にとっては不便な期間が長くなりますが、品質のよい長持ちする塗装のためにも「とにかく予定の工期で終わらせたい」と焦るのは禁物です。