外壁塗装で使われるウレタン系塗料。塗料にはいろいろな種類がありますが、結局のところウレタン系塗料はおすすめなのでしょうか? また、ほかの塗料と比較してどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか? 外壁塗装をする前に知っておきたい「ウレタン系塗料の基本知識」をまとめてお届けします。
そもそもウレタン系塗料とは?
外壁塗装をするためには、「塗料」という材料が必要になります。塗料とは壁の表面に塗りつけるペンキのことを指し、さまざまな種類・特徴があります。外壁の状態に合わせて適切な塗装を行うためにも、塗料の種類や特徴について知っておきましょう。
*グレードが高いものほど耐久性が高くなる傾向に
塗料をグレードで分類した場合、一般的には「アクリル系塗料」「ウレタン系塗料」「シリコン系塗料」「フッ素系塗料」の4種類に分けられます。4種類の中では、一番グレードが低いのがアクリル系塗料で、逆にフッ素系塗料はグレードが高くなるのです。今回の記事で取り上げるウレタン系塗料は、下から2番目のグレードということになります。
基本的には同メーカーでグレードが高い塗料ほど高価ですが、価格と比例して耐久性も上がる傾向にあります。そのため、塗料を選ぶ時は価格だけでなく耐久性もチェック項目の一つとなるのです。一般的には、どちらか片方のみを重視するのではなく、総合的なバランスが良いものを好む人が多いようです。
グレードの低い塗料だと、価格は安くても耐久性が劣るため、数年で塗料が剥がれてしまいます。その場合、すぐに塗り替えをしなければなりません。つまり、グレードの低いものは塗り替えの期間が短いのです。長い目で見れば、グレードの高い塗料の方が外壁維持にかかる費用が割安になるでしょう。
*ウレタン系塗料の特徴
ウレタン系塗料とは、塗料の主成分である合成樹脂がウレタン系のものを指します。木材で作られた外壁にも使用できるため、さまざまな箇所で活躍できる塗料だといえるでしょう。グレードが下から2番目ということもあり、価格は比較的安いです。
ただし、ウレタン系塗料を外壁に使った場合、耐用年数は5~8年程度とやや短めです。シリコン系やフッ素系の塗料ほど、長持ちしないという難点があるのです。
耐用年数と価格のバランス
塗料を選ぶ際には、特に耐用年数とコストのバランスが重要になります。ウレタン系塗料とシリコン系塗料を比較した場合、バランスが良い塗料はどちらでしょうか。
*安い塗料を選ぶと維持費用が割高に
塗料の単価が低くても、耐用年数が短ければ頻繁に塗り替えをしなければなりません。つまり、再塗装にかかる費用が多くなるため、結果的にはコストパフォーマンスが悪くなってしまうのです。
では、耐用年数と価格の2項目のバランスを考えた場合、はたしてウレタン系塗料はおすすめできる塗料なのでしょうか。シリコン系塗料と比較しながら、コストパフォーマンスについて考えてみましょう。
*ウレタン系塗料とシリコン系塗料を比較すると?
まずは、ウレタン系塗料の耐用年数と、塗装にかかる費用の目安(建坪30坪あたり)について見ていきます。
◆ウレタン系塗料
耐用年数:5~8年
費用の目安:70万円
塗装にかかる費用は塗料の質によって上下しますが、目安としては70万円程度になります。高級なウレタン系塗料を使えば、費用は上の目安よりもさらに高くなるでしょう。
次にシリコン系塗料について見ていきます。
◆シリコン系塗料
耐用年数:8~12年
費用の目安:87万円
耐用年数については、ウレタン系塗料が5~8年。それに対して、シリコン系塗料は8~12年と長めです。価格はシリコン系塗料の方が高く設定されていますが、費用の差は17万円程度と、それほど大きくはありません。家に長く住むことを考えると、耐用年数の長いシリコン系塗料の方がコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。
シリコン系塗料の普及により、ウレタン系塗料を使う機会は減少傾向にあります。塗装業者としても、利用者にはシリコン系塗料を勧めるケースが多いようです。
とはいえ、ウレタン系塗料がすべての面においてシリコン系塗料に劣っているわけではありません。そもそも、塗料には数多くの種類があり、どの塗料にもメリット・デメリットがあるのです。では、ウレタン系塗料にはどのようなメリットがあるのでしょうか。次の章で、詳しく見ていきましょう。
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ウレタン系塗料のメリット・デメリット
この章では、ウレタン系塗料のメリット・デメリットについて解説します。耐用年数が長いからといって、必ずしもシリコンが良いというわけではありません。外壁の種類や状態によっては、ウレタン系塗料を使った方が良いケースもあるのです。この章では、基本的な特徴について解説していきます。
*ウレタン系塗料のメリット
- シリコン塗料よりも価格が安い
- 樹脂が柔らかく密着性が高い
- ひび割れしにくい
- 光沢があるため高級感を出せる
- 木部や細部など、さまざまな場所に使える
- 塗料の種類が多い
*ウレタン系塗料のデメリット
- シリコン系塗料よりも耐用年数が短い
- 紫外線に弱い(変色しやすい)
- 湿度が高いと性能が落ちてしまう
- 汚れやすい
ウレタン系塗料の方が価格は安いため、塗装工事の費用を少しでも減らしたいという人には、ウレタン系塗料がおすすめです。また、木部やひび割れしやすい箇所などを塗装する場合にも、利用しやすい塗料だといえるでしょう。光沢があるため、高級感を出す場合にも利用できます。
種類豊富なウレタン系塗料! さまざまな付加価値があります
一口にウレタン系塗料といっても、その種類はさまざまです。外壁に使用でき、さらに「防藻、防カビ」「環境にやさしい」などの特徴があるウレタン系塗料も販売されているのです。ここでは、高品質なウレタン系塗料の付加価値について解説します。
*高品質なウレタン系塗料のメリット
- 環境にやさしい
- 低汚染性
- 防藻、防カビ
- 耐久性が高い
- 透湿性がある
- さまざまな用途で利用可能
- 艶の調整ができる
- 優れた仕上がりになる
ウレタン系塗料の中には、特別な効果がある商品も多くあります。耐久性に優れたものであれば、変形・変色・劣化などが発生しにくいでしょう。防藻・防カビ効果がある塗料であれば、藻やカビの発生を抑えてくれるため、外壁の見た目を美しく保つことができます。
また、ウレタン系塗料はもともと高級感を出しやすい塗料ですが、艶の調整や仕上がり性に優れたものを使うことで、イメージ通りの見た目にすることも可能です。ウレタン系塗料の種類によって、付加価値は異なるので、塗装業者に詳細を確認することをおすすめします。
ウレタン系塗料は長期間の使用に向いていない
ウレタン系塗料はシリコン系塗料に比べて耐用年数の面で劣るものの、価格は安く設定されています。ひび割れしにくいなどの特徴もあるため、家の状況や予算によってはウレタン塗料を使った方が良いケースもあるでしょう。
例えば、資金的な余裕があって塗り替えを頻繁に行う場合や、近々建て替えを行うため一定期間しか使わないという場合は、価格の高いシリコン系塗料よりもウレタン系塗料の方が適しているでしょう。また、ウレタン系塗料は種類が豊富なため、特殊な価値を付け加えられるというメリットもあります。