マイホーム購入から数年がたてば、そろそろ家の修繕について考え出すころ。家を長く保つため、住まいのメンテナンスについて真剣に考えている人も多いことでしょう。リフォームにはさまざまな施工がありますが、そのなかでも重要なメンテナンスのひとつが外壁塗装です。外観に影響するだけと考えている人も多いかもしれませんが、外壁は防水性能や強度に大きく影響するのです。
ここでは、外壁塗装がなぜ重要とされるのか、その基礎知識を解説します。
外壁塗装が重要とされる3つのポイント
雨や風、湿気、汚れなどによって外壁の塗装面の防水性能が落ちることで、外壁は傷んでいきます。見た目では判断できなくても、外壁の耐久性も落ちていきます。家の状況にもよりますが、外壁の塗り替え時期の目安はおよそ10年ごとといわれています。リフォームの際にぜひ検討したい外壁塗装。その3つの理由は次の通りです。
外壁の強度を回復させるため
外壁は塗装が少しずつ剥がれていくことで耐久性が低下していきます。そのまま放置していると、ひび割れが起こったり外壁が反ってきたりと劣化が進んでしまいます。
外壁塗装の施工を行う前には下地処理を行い、ひびや剥がれを修繕します。これにより外壁の強度が回復するため、雨風に強い外壁の性能を取り戻します。マイホームの寿命を伸ばすために、外壁の強度回復は重要な修繕なのです。
防水性能を回復させるため
雨漏りは屋根の劣化が原因で起こるものと考えられていますが、外壁に亀裂が入ってしまうことも雨漏りの原因のひとつ。外壁塗装の目的は雨漏りから家を守るためでもあるのです。
外壁の防水性が低下すると微生物が繁殖し、カビやコケが生えてきます。そのまま放置しておくと、建物の内部へと広がっていくだけでなく、外壁の内部に水分や湿気が入り込み木材部分が腐食してしまうおそれもあるのです。
雨漏りの症状が確認された場合は、外壁の劣化がかなり進んでしまっている可能性があります。そうならないためにも、事前の外壁塗装メンテナンスは欠かせません。
外観を美しく保つため
外壁は紫外線を受けて色あせていきます。外気や雨風を受けることで汚れも目立ってしまいます。さらには、汚れだけでなく、さびやひび割れ、塗装の劣化によって、外観の美しさは損なわれていくもの。外観は家のイメージに大きく影響しますので、マイホームの美しい外観を保つためにも、リフォームを考える際は、外壁塗装もあわせて検討しましょう。
外壁塗装に最適な7つのタイミングとは?
リフォームの際に外壁塗装も依頼するかどうか迷っている人もいるのではないでしょうか。そんなときは、外壁の状態をチェックしてみましょう。汚れや色の状態、劣化して亀裂が入っているかどうかなどを基準にすれば、外壁塗装のセルフチェックをすることも可能です。
外壁塗装に最適なタイミングは主に次の7つです。リフォーム検討中の人は、一度チェックしてみることをおすすめします。
- 汚れが目立っていないか?
- 塗料のツヤが失われていないか?
- 塗装時よりも色が薄くなっていないか?
- 塗料が剥げて下地が見えていないか?
- 亀裂が入っていないか?
- コケやカビが繁殖していないか?
- 触ったときに粉を吹いていないか?
まずは外観の汚れや色・ツヤをチェック
外壁もメンテナンスしなければ汚れが目立ってしまいます。まずは、外観の汚れが気になるかどうかチェックしてみましょう。
外壁の塗装には塗料が用いられますが、これには複数の種類があり、種類ごとにおおよその耐用年数が定められています。年数がたてば色が薄くなってしまうだけでなく、紫外線などを受けて塗料のツヤも失われていきます。さらに塗料が劣化すると、剥げて下地が見えるなど、外壁トラブルの原因になってしまうのです。塗料の状態をチェックすることで、外壁塗装が必要なタイミングかどうか判断ができます。
外壁の劣化は重要なチェックポイント
外壁塗装の劣化には段階があります。壁の塗装膜が劣化することによって、塗膜の防水性が失われるチョーキング現象にはじまり、クラックと呼ばれる横ひび、目地に隙間やひび割れが起こるシーリングの劣化などが起こります。また、防水性の低下によって繁殖するカビやコケなどの症状も進んでしまいます。
チョーキング現象が起こると、外壁に触れたときに色の粉が手につくようになります。白亜化現象や塗料の風化などと呼ばれるこの現象こそが、チョーキング現象のサイン。定期的に外壁の状態をセルフチェックするようにしましょう。
劣化が進行してしまうと、最終的には外壁に浮きや膨れの症状が起こってしまいます。そうなると、雨水が侵入してしまい、構造材の腐食につながるなど、症状によっては大規模なリフォームが必要になってしまうこともあります。外壁劣化によるトラブルを未然に防ぐためにも、外壁の亀裂やコケ・カビなどの繁殖はしっかりとチェックするようにしましょう。
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外壁塗装で重要な「塗料」の種類とは?
外壁塗装では塗料選びが重要です。価格・性能・耐久性を左右する塗料は、自宅の状況に合わせて選ぶのがポイント。外壁塗装に用いられる主な塗料には次のようなものがあります。
アクリル塗料
塗料の中でも価格の安いアクリル塗料。他の塗料に比べると耐久力は弱いものの、価格面での安さが特徴です。重ね塗りができるため、外壁の色を頻繁に変えたいときなどに最適の塗料です。
ウレタン塗料
耐久性や防汚性、紫外線への強さである耐候性などは他の塗料と比べるとそれほど優れていないものの、価格と性能のバランスが良い塗料とされています。細部への塗装に適した塗料でもあります。
シリコン塗料
コストパフォーマンスに優れ、外壁塗装で多く用いられる塗料。汚れにくく色落ちに強いだけでなく、耐水性や耐汚性、耐候性に優れた塗料です。戸建ての塗替えに多く用いられる人気の塗料です。
ラジカル塗料
どんな壁材にも対応できる次世代塗料と呼ばれるラジカル塗料。高緻密無機シールド層の性能により、UVや酸素、水による塗膜の劣化を防ぐ性能があります。また、外壁塗装に多用されるシリコン塗料に代わる塗料としても期待されています。
フッ素塗料
そのグレードの高さから高価ではあるものの、耐久性の高さが特徴の塗料です。汚れを弾く非粘着性や酸性雨に強い耐薬品性、耐候性に優れた性能があります。
外壁塗装の塗料は、価格や耐久力、性能によって選び分けるのがポイントです。また、種類によっては防音性能や遮熱性能に優れたものもあります。自宅の状況によって、最適なものを選ぶようにしましょう。
マイホームを長持ちさせるためにも外壁塗装を
リフォームには間取りの変更や水まわりの施工など、さまざまなものがありますが、快適で安全に暮らせるマイホームを保つためには、外壁のメンテナンスがとても重要なのです。見た目の美しさが保てているからと放置しておくのは禁物です。外壁自体の張り替えなど、大規模なリフォームが必要になる前に、外壁塗装でマイホームをメンテナンスするようにしましょう。