外出するたび気になる住まいの「サビ(錆)」。 ※以下サビと表記します。
家の鉄部にサビができてしまうと、見栄えが悪いだけでなく資材の老朽化が起こっているというサインになります。
また、サビが建築資材の内部にまで浸食すると、家の防水性や断熱性が低下して、最悪の場合、壁の倒壊に至る恐れも…
家族のためにも、安全に暮らせる住まいを維持して快適に過ごしたいものです。
それには、サビを除去することやサビの発生を防止する対策が重要となります。
ここでは、家の鉄部にできるサビの原因や落とし方、対策について徹底解説します。
住まいの耐久性や防水性を向上させ、住まいを長持ちさせるメンテナンスを計画しましょう。
1.そもそもサビ(錆)ができる仕組みとは
サビができる原因は金属の腐食との深い関りがあります。
まず、サビができる仕組みについて確認しましょう。
1-1. サビ(錆)は腐食
サビは金属の腐食が進行することで発生する「金属酸化物(腐食生成物)」です。
腐食とは、化学反応を起こしその物の形や機能が損なわれることを指します。
一般的にイメージしやすいサビは、鉄(Fe)が全面腐食した状態でしょう。
腐食が進行した鉄表面には酸化被膜(酸化膜)が生成され、それがサビです。
サビの成分は、オキシ水酸化鉄と呼ばれるα一,β一、またγ一FeOOH、マグネタイトFe304、無定形酸化物から成り立っています。
それらの要素の割合は、サビができる環境や状況によって異なるため、性質もさまざまです。
鉄部がサビたときの色は、黄色・茶色・茶褐色・黒色が一般的。
厚さや個体の大きさによって色も変化します。
1-2. 金属腐食のメカニズム
サビが発生するまでのメカニズムについて、サビの代表格「鉄(Fe)」を例にして解説していきましょう。
鉄の構造は、鉄の原子と自由電子e-から成り立っていて、乾燥した大気中ではその構造を安定して保っています。
■サビ発生のメカニズム
1.外部要因(雨など)によって鉄に水がかかると、鉄表面にある水分が空気中にある酸素を吸収します。
2.水分と酸素が化学反応を起こし、OH-のマイナスの水酸化鉄イオンが生成され、鉄Feは電子が奪われることで、Fe3+のプラスイオンに変化します。
3.OH-とFe3+が結合してFe(OH)3となります。
4.そのあと水分がなくなることで、サビ(Fe2O3)が発生します
このようなメカニズムでできたサビは、鉄の酸化物といえます。
サビができる要因は2つです。
【1】水と酸素
鉄は、湿度60%以上になったり表面が水で覆われることにより、酸化が起こりサビが発生します。
【2】電気伝導率
電気伝導率(電気伝導度)は、電気をどのくらい通しやすいかを表す指標です。
鉄は、電気伝導率が高いほど腐食しやすいという特徴があります。
そのため、電気伝導率の高い【水道水】は腐食しやすく、反対に電気伝導率の低い【純水】は腐食しにくいといわれています。
2.外壁塗装をしてもサビ(錆)が出る理由
非常に稀ですが、外壁塗装工事をしたにも関わらず、サビが発生することがあります。
外壁塗装をして3年以内にそのサビが発生したのであれば、それは早いと判断してよいでしょう。
では、なぜ外壁塗装をしてもサビが発生してしまうのでしょうか。
その理由について解説します。
2-1.時間経過による防水性能の低下
サビが発生するメカニズムの中で、水と酸素が大きく関わっていることを説明しました。
鉄にサビが発生する一番の原因は、水の影響です。
外壁塗装されたばかりの美しい外壁は、塗料の防水効果によってサビが発生しにくい状態を保っています。
しかし、時間の経過によってその効果が弱まり、雨が降ると外壁に水分が溜まりやすい状態となります。防水性能が弱まった状態で鉄部が水の影響を受けるため、サビができるというわけです。
2-2.手抜き工事
外壁塗装の基本は三度塗りです。
使用する塗料によって工程が異なり、塗る回数もそれに応じて変わることはありますが、基本的に外壁塗装は三度塗りで十分な防水性が得られます。
大手メーカーの塗料でも、施工仕様書にて三度塗りを指定している塗料が多いため、一度塗りや二度塗りで済ませる業者は、【手抜き工事】をしている可能性が高いといえます。
また、この他にも
・素地調整(下地処理)が行われていない
(※素地調整…塗装前に塗装できるようにするために行う下地補修などの作業)
・防サビ剤がきちんと塗布されていない
・依頼主への進捗報告がないなど、工程管理を雑に行っている
などの【手抜き工事】によって、サビが発生する原因となります。
2-3. もらいサビ
モルタルなどの金属を含まない壁やサビにくいといわれるステンレス部材にサビができることがあります。
これは「もらいサビ」の可能性が高いと見られます。
「もらいサビ」とは、他で発生したサビが雨や風の影響によって、別の物に移ってしまう状態のことです。サビにくい素材の壁に「もらいサビ」が発生すると、サビの進行が早く壁内部の劣化に至る場合があります。
もらいサビの発生を防ぐためにも、サビが発生しやすいものは、建物の近くに置かないように注意しましょう。
■「もらいサビ」しやすい対象物
・自転車
・照明
・フットライト
・脚立
・ホース
・スコップ 等
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3.主な防サビ(防錆)対策
長く安心して暮らせる住まいを維持するためには、外壁にサビが発生しないよう対策を講じることが大切です。
DIYでも簡単にできる防サビ対策について解説しましょう。
3-1.サビ止め塗料を塗る
サビ止め塗料は、サビが発生する前に塗る防サビ剤です。
金属の表面に塗ると表面に塗膜を作り、サビの原因となる水や酵素を除去・遮断して、サビや腐食を防ぐ効果があります。
しかし、サビがすでに発生している部分に塗っても効果はありません。
サビの箇所にサビ止め塗料を塗ってしまうと、水分を吸収して酸化する原因にもなりますので止めましょう。
またサビ止め塗料は「アルカリ性」の製品が多いのですが、これは防サビ効果が低いためおすすめできません。
防食性・付着性・耐久性に最も優れたサビ止め塗料は、「エポキシ樹脂系」です。
防サビ効果が高いため、非常に効果的なサビ止め塗料といえます。
3-2.酸で洗浄する
サビ落としに効果のある酸は、クエン酸とリン酸です。
身近にあるクエン酸は、進行していない軽度の赤サビであれば除去が可能です。
しかし、クエン酸は進行している赤サビには効果の低い成分といえます。
進行している赤サビには、「リン酸」を主成分とした製品を使用しましょう。
リン酸は、すでに発生している赤サビにも効果があり、発生も防ぐ効果もあります。
直接肌に触れると危険なため、使用する際はゴム手袋をつけて作業しましょう。
3-3.【サビてしまっている場合】塗料で酸素と水を遮断
防サビ対策に最も有効な手段は塗料です。
すでにサビてしまっている部分に有効な塗料は、酸素と水を遮断する成分のものです。
除去しきれない根強いサビには、イオントラップ剤・エポキシ樹脂系の成分を含む「面素地調整補助剤」を使用しましょう。
イオントラップ剤・エポキシ樹脂系の成分によって、酸素と水を遮断し、新たなサビの発生と成長を防ぎます。サビの進行度合いによって対策は変わるので、まずはサビの状況を把握することから始めましょう。判断が難しい場合は、塗装専門業者に相談しましょう。
4.【応急処置】サビ(錆)の簡単な落とし方
サビを見つけてしまったら、少しでも早く対処したいものです。
ここでは、DIYで簡単にできるサビの落とし方を紹介しましょう
4-1. ホースで壁を洗浄
発生してすぐのサビは、ホースの先を指で潰し水圧を掛けて壁を洗浄するだけで落ちる場合があります。
水圧を上げて、サビに直接当てましょう。軽度のサビであれば、これで洗浄できます。
ただし、外壁の内部に達したサビには効果はありません。
4-2. サビ用洗剤で洗浄
ホームセンターなどで販売されているサビ取り用の「サビ用洗剤」があります。
(※「サビ用洗剤」には配管用もあるので用途に適したものを入手しましょう。)
水だけで落とすことができなかったサビは、この洗剤で落ちる場合があります。
洗浄した後は、変色を防ぐためにも洗剤をしっかりと洗い流しましょう。
ただし、こちらも外壁の内部に達したサビには効果はありません。
4-3. ブラシ・スポンジを使用する
ブラシ・スポンジを使用する際のポイントは2つです。
【1】柔らかい素材のものを選ぶこと
【2】優しい力で洗うこと
固いブラシやスポンジで壁をゴシゴシ洗うと、壁に傷ができてしまいます。
とくに研磨材の入った洗剤は傷つきやすいので注意が必要です。
また、こちらも外壁の内部に達したサビには効果はありません。
4-4. 専門業者に頼む
資材内部にまで浸食したしつこいサビには、それに適した塗料の選択や適切な塗装工程を踏む必要があります。
そのため、素人の知識や技術では根本的な改善は難しく、サビが消えたとしても再発する恐れがあります。
安全で快適な住まいを維持するためにも、サビの除去は正しい知識や高い技術を持った塗装専門業者に依頼するのが一番です。
外壁塗装業者に外壁塗装を依頼すると、外壁のサビの状態を正しく見極め、適した塗料の選定・塗装を行います。
さらにサビの再発を防ぐために、下地調整から適切な工法で補修と塗装を行うため、長い目で見ればプロに依頼する方が安心で経済的といえるでしょう。
サビ止め塗装の平均価格は、業者にもよりますが「300~900円/㎡」程度です。
サビ止め塗装は見た目に現れるものではありませんが、数年後のサビの状態には明らかな違いが実感できます。
5. 外壁.comは「鉄部の塗装」も経験豊富です!
外壁塗装の塗料には耐劣化のレベルがあります。「塗膜」と呼ばれる保護効果をもたせていますが、雨や紫外線などにさらされるため年々塗装は劣化することは免れません。
サビは鉄部の劣化において、最悪の状態といえます。外壁の塗膜の劣化を簡単に判定できるのは「チョーキング」症状の有無です。外壁に触れてチョークのような粉がつくようになったら塗り替え時期だと考えてよいでしょう。
外壁.comは全国で47,000件という施工実績があります。サビについて熟知した経験豊富な塗装職人たちが、補修しますから安心してお任せ下さい。
また、外壁塗装や屋根塗装の標準的な費用(サビ補修、付帯部分を除く)を知りたい方は、外壁.comのホームページでお見積もりシミュレーションにてお確かめください。安心の後払い、5年保証を実施しています。お金を払ってから、嫌な思いをすることはありません。
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根本的にサビ(錆)をなくすためには業者に依頼するべき
サビは外壁の劣化のサインです。
サビをそのまま放っておくと、進行して壁に穴があいてしまう恐れもあります。
安全・快適な住まいを維持するためにも、サビへの対処は早めに行いましょう。
軽度なサビの場合はDIYで補修することも可能ですが、再発する可能性もあります。
根本的な改善を目指すには、専門業者に依頼するのが一番です。
外壁のサビが気になる方は、いちど外壁塗装専門業者に相談することをおすすめします。
▼まとめ
・サビは腐食することで発生する
・サビのメカニズムには水と酸素が深い関りを持っている
・外壁塗装をしてもサビができる原因に「もらいサビ」がある
・外壁の内部にまで浸食したサビは素人の処理では補修不可能
・サビの根本的な改善は専門業者に依頼するのが一番