屋根や外壁にはシーリング材という材料を使用して施工することがあり、シーリング部分に劣化が起きた場合は補修が必要です。
シーリング材にはさまざまな種類があり、リフォーム内容によって使い分けます。
今回は、住宅メンテナンスを検討中の方がわかりやすいように、シーリング材の用途や種類、特徴などを解説します。また、建築用語のコーキング材との違いについても解説するので、一緒にチェックしてみましょう。
1.シーリング材の用途とは
リフォーム工事でシーリング材を用いる際には、主に3つの使い方があります。どのような用途があるのかチェックしてみましょう。
1-1.サイディングのひび割れを防ぐ
サイディング壁は、サイディングボードを外壁下地に張り付ける工法で施工するのが特徴です。サイディングボードは堅く薄いため、気温変化で膨張したり地震の揺れなどで負荷がかかったりすると、ひび割れや破損を起こす可能性があります。
そのため、「目地」と呼ばれる隙間にシーリング材を充填し、サイディング壁への負荷を軽減して不具合を防ぎます。
1-2.接着剤として建材を固定する
シーリング材の2つ目の用途は、建材を固定することです。
屋根工事では、屋根の棟板金が飛んでいかないように釘で固定しますが、釘を打ち込んだところにシーリング材を打つと飛散防止に役立ちます。
また、瓦屋根のズレを補修する際に、シーリング材を接着剤として使用するなど接着性を活用した工法があります。
1-3.雨漏りの応急処置
雨漏りが起きている場合、劣化箇所をシーリング材で埋めることで応急処置ができます。
雨漏りの原因になりやすい劣化症状は、
金属屋根の穴あき
屋根や外壁のひび割れ
天窓やサッシまわりのシーリングの破損
などです。
雨漏りで水分が建物内部に侵入すると、構造躯体に影響を与えて家の寿命を短くするおそれがあるため、早急に対策をとりましょう。
1-4.コーキング材との違い
シーリング材は目地や隙間などに充填し、防水性や気密性を保持するために用いられるペースト状の材料です。
同じように隙間を埋める材料としてコーキング材(コーキング剤)と呼ばれるものがありますが、シーリング材と大きな違いはなく、呼び方が違うだけでどちらも同じものとして扱われています。
1-5.価格目安
シーリング材を用いた工事には、「打ち増し」と「打ち替え」の2種類の工法があります。業者にリフォーム工事を依頼した場合、工事の価格目安は以下のとおりです。
【打ち替え工事】
工事内容:既存のシーリングを剥がして新しくシーリング材を打つ
価格目安:700円~1,200円/m
【打ち増し工事】
工事内容:既存のシーリングの上からシーリング材を打つ
価格目安:500円~900円/m
業者によって設定価格は異なり、地域や劣化状況などで費用は違います。足場代などの費用が必要な場合もあるので、正確な工事価格を把握するために現場調査・見積りを依頼してみましょう。
2.シーリング材の種類・特徴
シーリング材には種類があり、用途に合わせて適切なタイプを選びます。それぞれの特徴を見てみましょう。
2-1.ウレタンの特徴
ウレタン系シーリング材は、耐久性が非常に高いのが特徴です。硬化すると弾力性を持ち、密着性が高いメリットもあるため外壁のひび割れや目地の補修によく使用されます。
ただし、耐候性が低く、紫外線に弱い・ホコリが吸着しやすいなどのデメリットがあることから、屋外で使用する場合は塗装での保護が必要です。また、塗装後に汚れにくいノンブリードタイプもあります。
【主な使用用途】
ALC・窯業系サイディングの目地
窓枠まわりの目地
コンクリートのひび割れ補修
2-2.シリコンの特徴
シリコン系シーリング材(シリコンコーク)は、耐候性・耐水性・耐熱性に優れていて、比較的価格が安いことからコストパフォーマンスが良いシーリング材です。
充填後にシリコンオイルが出るため、周辺が汚れやすく上から塗装できません。専用プライマーを使用すれば塗装可能なケースもありますが、基本的に外壁には使用しないシーリング材です。
【主な使用用途】
ガラスまわり目地
屋根瓦の補修
浴室・浴槽・洗面台・キッチンまわり
2-3.アクリルの特徴
アクリル系シーリング材は、水性タイプで作業性に優れているのが特徴です。価格は安いですが、硬化後に肉やせが起こる性質があり、耐候性・耐久性が低いデメリットがあります。
新築時に使用されることはありますが、メンテナンス性を考慮するとリフォーム工事ではあまり使われません。
【主な使用用途】
ALCの目地
塗装・クロスの下地処理
2-4.変成シリコンの特徴
変成シリコン系(変成シリコーン系 )シーリング材は、ウレタン樹脂を原料としたもので、耐候性・塗装性に優れていることからさまざまな用途に使用できるのが特徴です。
シリコン系よりも耐久性が低く、ウレタン系よりも密着性が劣るデメリットがありますが、硬化後に塗装が可能なので外壁にも使用できます。
【主な使用用途】
窯業系サイディング・コンクリート・ALC・タイルなどの目地・サッシまわり
躯体・板金加工など
2-5.1液性と2液性のシーリング材
シーリング材には1液性(1成分形)と2液性(2成分形)があります。
【1液性】
缶タイプやコーキングガンを使用するタイプがあり、そのまますぐに使えるのが特徴です。準備に手間がかからず、部分補修や施工箇所が少ないときに使用されます。
【2液性】
主剤と硬化剤が分かれているタイプです。専用の撹拌機でしっかりと混ぜ合わせる必要がありますが、用途に合わせて分量を多く作ることができます。
2液性は塗装知識や技術がないと硬化不良を起こす可能性があるので、シーリング材の扱いに慣れた業者に依頼しましょう。
3.こんな症状がでたら注意!
シーリングは紫外線や雨風などの影響を受けて劣化が起こります。どのような劣化症状が起こるのかチェックしておきましょう。
3-1.ひび割れ
地震による建物の揺れに追従できない場合や経年劣化によって、シーリング材にひび割れが起こるケースがあります。他にも、チョーキングや変色などシーリング表面に劣化が起きているときは、点検・メンテナンスを検討しましょう。
3-2.破断
破断はシーリング材のひび割れが広がって、真ん中から切れてしまう劣化症状です。シーリング材の寿命や新築時のプライマー不足の可能性があり、放置すると剥離するおそれがあります。適切なシーリング材を使用して、打ち替え工事を行いましょう。
3-3.肉やせ
肉やせは、シーリング材に含まれる可塑剤が溶け出す劣化症状です。シーリングの厚みが薄くなって隙間ができるため、雨漏りの原因になる場合があります。経年劣化でないときは、新築時にシーリング材のボリュームが足りていなかった可能性も考えられます。
早急に補修が必要な劣化症状なので、業者に点検を依頼しましょう。
3-4.メンテナンスは10年を目安に必要
シーリング材のメンテナンスは、10年に1度を目安に行う必要があります。
劣化症状が重くなるとその分メンテナンス費用が高くなる場合もあるので、劣化症状が軽いうちにしっかりとメンテナンスをすることをおすすめします。
屋根や外壁塗装の点検・メンテナンスと合わせて、一緒にシーリングもチェックしてもらいましょう。
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シーリングが劣化する前にメンテナンスをしよう
シーリング材にはたくさんの種類があり、屋根や外壁など使用する場所や建材との相性、用途に合わせて適切な商品を選ぶのがポイントです。
シーリングが劣化すると、他の劣化症状を招いたり雨漏りを起こしたりするおそれがあるため、シーリングの劣化を早急に発見するために、定期的な点検をして劣化症状が軽いうちにメンテナンスをしましょう。
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見積もりシミュレーション特許取得ビジネスモデル特許 第6198360号
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要点まとめ
シーリング材はひび割れ防止・建材の固定・雨漏りの応急処置といった用途がある
シーリング材には種類があり、用途に合わせて適切なタイプを選ぶことが大事
シーリングの補修は屋根・外壁塗装メンテナンスと一緒に行うのがおすすめ